魅力的な平成探偵!~それでも廻っている?

探偵小説、読んでますか?

民族学的な知識で事件を解決する推理小説の探偵

私が好きな小説の種類は平成に出版された推理小説です。個人的には民族学的な知識により事件を具体的に解しようとする名探偵が魅力的です。

刀城言耶

その探偵は作家三津田信三のミステリー小説に出てくる、刀城言耶です。
刀城言耶の周りで、怪奇現象が起こり、実話なのか虚実なのか分からない出来事に遭遇する事になりますが、刀城言耶は怪奇体験を知る人としての側面を持っていて、冷静な部分があるので、キャラクターとしての魅力があります。

刀城言耶の周りに起こる怪奇現象は幽霊の登場や神隠しなどの現象ですが、この現象が起こった時に小説に出てくるキャラクターが主観的な意見や学説による意見を引き合いに出して会話をするので、一見現実的ではないような事件も本当にあったかのようなリアリティが出てくるので読んでいて緊張感が出てくるのです。

また刀城言耶の周りに起こる事件の舞台は日本古来の場所が多く、作品に独特の余韻をもたらしています。そして、三津田信三が書く探偵小説では日本の風習についての情報を綿密に書いている事が多いので、読んでいると知識がかなりついてくるので、探偵好きだけでなく、とにかく活字を読むのが好きな人にとっても魅力的です。

刀城言耶が出てくるミステリー小説は2018年の現在でも出版されているので、今後の活躍にも期待出来ます。

中禅寺秋彦

もう一人の探偵は作家京極夏彦のミステリー小説に出てくる中禅寺秋彦です。
中禅寺秋彦は常に古本を読んでいて妖怪や民俗学、心理学などの幅広い知識を持っていて事件を論理的な思考で解決しようとする所が魅力的です。

中禅寺秋彦が営んでいる書店には古本がたくさんあり、実際に存在したらその書店に訪れてみたいくらいの魅力があります。そんな中禅寺秋彦と探偵榎木津礼二郎や作家の関口巽との掛け合いも面白く、時にシリアスな事件の展開を話してくれるので、読んでいるとドキドキしてしまいます。

中禅寺秋彦が知識を話す会話がたくさん出てくるのですが、いずれも勉強になる事が多く情報量がたくさんあるので、読んでいると新たな発見を見つける事が出来るのが特徴的です。
京極夏彦の小説に出てくる舞台背景も日本古来の場所が多く、作品自体に独特の雰囲気があるので魅力的です。

刑事事件と直接向き合う探偵

探偵森江春策、南美希風について

私が好きな推理小説には民族学の知識だけでなく、刑事事件と直接向かい合う探偵がいて、その探偵が活躍するミステリー小説も大好きです。
その探偵は作家芦部拓のミステリー小説に出てくる森江春策です。

森江春策の経歴は京都の大学を卒業して新聞社で務めていて、弁護士の資格を持つ探偵です。こうして見ると凄いキャリアを持つ人のように見えますが、森江春策本人はかなり地味だという設定があり、目立つ行動をする事がないので、ギャップが凄いです。

しかし森江春策は京都で起こった事件や2009年に日本に導入された裁判員制度の事件に立ち会ったり、関西地方を巡る犯罪を解決しようとするので、広範囲に渡る事件を解決する親近感がある名探偵としての側面も持っていると言えます。なのでキャラクターとして非常に魅力的です。

もう一人紹介する個人的に好きな探偵小説の探偵は作家柄刀一の小説に出てくる南美希風と呼ばれる探偵です。
南美希風は写真を気楽な感じで撮影しているという設定ですが、対面する事件に直接向かい合う探偵の役割を果たしていて、独特の存在感があります。

南美希風が直面する事件には密室殺人の事件があります。この複雑な事件に対して、心理的トリック、物理学的トリックなど、あらゆる事件解決に至るまでのプロセスを考えて、行動していくので冷静で非常に理知的なキャラクターという感じがしてスマートです。

また南美希風は親友思いの性格も持っていて、頼りがいのある人物というキャラクター性もあります。南美希風と親友についての詳しい記述がある小説はfの魔弾という小説です。
この小説では、親友である浜坂の無実を証明する為に事件解決の手掛かりをさぐろうとする様子は、読んでいて感動的な気分になります。このfの魔弾という小説も法律関連の専門的な情報が出てくるので、物語に緊迫感が出ているのが特徴的です。

このように平成の時代に出版された探偵小説に出てくる探偵には、それぞれキャラクターとしての特徴があり、正義感を隠し持っている事が分かります。
小説の中で起こる事件はかなり複雑ですが、そんな事件でも明確な解決をしていくために奔走する探偵の活躍ぶりは爽快感があり、読んでいる内に自然と好きになっていきました。