海外でシェアを広げる日本のピアノメーカー
ピアノというと日本人が真っ先に思い浮かべるのは、ヤマハとカワイではないでしょうか。
ピアノにあまり興味のない、多くの方々がこのピアノメーカー以外のピアノは知らないし、また見たり触ったりする機会もめったにないでしょう。
また、世界にはどんなピアノメーカーがあって、その中で日本のピアノメーカーはどのくらい普及しているかも日本人の殆どは知らないでしょう。
世界シェアが一番高いピアノはヤマハ
さらに二番はカワイなのです。日本人が知っている2つの有名なピアノは海外でも、同じくらい有名なのです。驚きですね。
ただ、シェアが1番であっても、ピアノとしての評価はまた別です。
ピアニストが最も好んで使うピアノやコンサートホールに設置されているピアノは世界ではヤマハやカワイのピアノではありません。
やはり評価のゆるがないスタインウェイ
ピアノとして最も評価されているのは、スタインウェイというアメリカのピアノです。
スタインウェイというピアノは、とても大きな音が出るピアノで更にその音色はとても豪華です。まさに舞台映えするピアノですので、多くのピアニストに好まれ、更にコンサートホールに沢山設置されています。
ただ、高性能のピアノですのでお値段もそれなりに高額であるため、庶民には手が届きにくく、そのためヤマハやカワイのように世界のシェアは多くはないのです。
ですが、最近になって、このピアニストやコンサートホールで使われるピアノとして、ヤマハやカワイが徐々に評価されるようになりました。
ショパンコンクールでもヤマハを選ぶピアニストが増えている
世界最高峰のピアノコンクールと言われるショパンコンクールでは、ピアノを参加者が選ぶことが出来るのですが、近年、最終審査に残ったファイナリストたちがヤマハを選ぶ割合が徐々に増えています。また、カワイも健闘しています。
ヤマハについては前回のショパンコンクールでは、コンクールの参加者全員に対して、ヤマハの電子ピアノを無料で貸し出しをしたそうです。これによってヤマハの感覚になれた参加者がヤマハのピアノを選ぶケースが増えたようです。
沢山のコンクール参加者がヤマハのピアノを弾く映像が世界に流され、ヤマハの宣伝効果は大変大きかったようです。このような地道な努力の結果、日本のピアノメーカーは海外でのシェアを益々広げているようです。
日本のピアノも海外のピアノも皆、個性的
ところで、世界にはスタインウェイ以外にはどんなピアノメーカーがあるでしょうか。
様々な個性的なピアノが奏でる音色
ピアノメーカーとしての歴史、品質、信頼という点で選ばれた世界三大ピアノというブランドがありますが、その中には、ヤマハやカワイは入っていません。
入っているのはアメリカのピアノ「スタインウェイ」と、ドイツのピアノ「ベヒシュタイン」、オーストリアのピアノ「ベーゼンドルファー」です。
ただし、ベーゼンドルファーは経営不振のため、現在はヤマハの資本傘下ではありますが、オーストリアのピアノメーカーであることには変わりありません。
この3つのピアノは、それぞれに個性的かつ美しい音色を持っていて甲乙つけがたい魅力があります。
スタインウェイは迫力があり豪華な音色とご紹介しましたが、ベヒシュタインは温もりのある優しい音色が魅力です。また、ベーゼンドルファーは落ち着いたシックな音色でこれもまたファンは多いです。
日本のピアノは個性的と言えるか?
そうした個性的な音色を持つ海外のピアノに対して、日本のピアノはどうでしょうか?
日本人の性格と同じように考えると、個性がないのでは?と思われそうですが、これが違うのです。日本のピアノである、ヤマハ、カワイともに海外では音色はそれぞれに個性的なのです。
ヤマハの個性
まずヤマハですが、これを個性的と言っていいかは微妙ではありますが、万人受けする癖のない音色が魅力です。こういう音色のピアノは他にないのです。ですから、癖がない音色は個性とも言えるでしょう。
また、ピアノ自体も非常にコントロールしやすい、つまり弾きやすいピアノで、コンクールで好まれるのはこの部分です。同じ弾くなら楽に弾いて上手に聴こえる方がよいですよね。
そして、明るいハッキリした音色なのでクラシックだけでなく、ジャズやポピュラーなどでも好まれています。
カワイの個性
一方、カワイはヤマハとはかなり異なります。こちらはヤマハのようなはっきりした音ではなく、柔らかでふわっと広がる個性的な音色。
海外でも個性的な音色のピアノとして、特にヨーロッパではとても人気があります。
ただ、ホールで弾いた時に響きにくい傾向があるために、コンクールでは地味に聴こえやすいのですが、それでもカワイのピアノでコンクールを弾きたい、という熱烈なファンがいるのもカワイの特徴です。
そのほかにも、海外や日本にはまだまだ沢山のピアノメーカーがあり、それぞれに音色が違っています。そういう違いを聴き比べるのも面白いですよ。
日本のピアノメーカーも頑張っています!