ファレノプシス(胡蝶蘭)を、翌年また綺麗に開花させる方法

お祝いに頂く事も多いファレノプシス

様々な場面でお祝いに頂く事の多い鉢花。
その中でも特にファレノプシスはアーチ状の花茎に白や桃の大輪を幾つも連ねる優雅な姿が素晴らしく、また季節を問わずプレゼント出来る事もあり人気の種類となっています。

ポイント① 胡蝶蘭はベストな環境で夏場を過ごさせる

ただ頂いたのは良いものの、世話の仕方が全く分からずすぐに枯らしてしまい人が多いのも事実。しっかり世話をすれば翌年も綺麗な花が楽しめるのに、実に勿体無い事です。

お祝いに頂いたファレノプシスを元気良く育てる上で考えるべきは、通気と温・湿度。これらの条件が揃っていれば、かなり適当に育てていても決して枯れる事は無く、むしろ自由に育ち花を着けてくれます。
その為に先ずやるべきは、お祝いに頂いた時の化粧鉢・寄せ植えという状態からいち早く解消してあげる事です。
ファレノプシスにとって、通気性ゼロ・湿気過多となる化粧鉢・寄せ植えの状態は多きなデメリットにしかならず、この状態をいかに早く脱し、快適な環境に置き換えてやるかが重要となってくる訳です。

とは言え方法は意外と簡単。
近郊にあるホームセンターから寄せ植えしてある株の数だけ適度なサイズの素焼き鉢とミズゴケを購入してきて、十分気温が上がった時点で植え替えてあげるだけです。
植え替えの季節は完全に花が終わり、これから盛んな成長期に入るタイミングとなる6月頃がベスト。化粧鉢から引き抜いた株の植え込み材料を綺麗に落とし、死んで腐った根を全てカットし綺麗にしてからミズゴケに包み、予め水に浸けアクを抜いた素焼き鉢に押し込んで植え付けます。


植え替えの際、使用するミズゴケは前日から水を吸わせ戻しておく事。植え込む際には水から取り出しギュッと絞り、水を切った状態で根を包みます。
同じ素焼き鉢にも通常タイプと浅鉢タイプがありますが、意識して多めに水を与えるならより鉢内の乾燥が早い浅鉢タイプがベターでしょう。
ファレノプシスを含め、着生ランの仲間は根が浅く同心円状により遠く広がろうとする性質がある為、株が大きくなればなる程浅鉢タイプの方が理に適っているのです。またベランダ等での戸外栽培の際、急な強風で鉢が倒れ難い、というちょっとしたメリットもあります。

植え替え後はしばらく水やりは控え気味にし、通風に優れた明るい日陰に置いて株元から新根が発生するのを待ちます。
株元から緑色の新根が見え始めたら水やりの頻度も増やし、また薄い液肥を与え始めると良いでしょう。

ポイント② 冬季の保温が最大のカギに

ファレノプシスは数ある洋ランの中でも特に高温・多湿を好みます。ですから真夏から秋口にかけては天国の様なもので、この時期いかに大きく葉を成長させるかが翌年素晴らしい花を見られるかのカギとなってきます。

水やりは毎日欠かさずたっぷり行い、液肥もストレートタイプなら一週間に1回必ず適量施す事。ただ直射光は苦手ですから、戸外に出す場合は強めの遮光材を周囲に張り、木漏れ日程度の日射量に調整してあげる事が重要です。
秋も深まり気温が下がり始めたら秋雨の時期を待たず屋内に取り込み、窓際に置き株の充実を図ります。早ければ秋も深まる頃から株の根元に花芽が現れ、タケノコの様な姿で上方に向かいゆっくり伸び始めます。

寒さが苦手なファレノプシスですから、冬場も最低気温は出来れば12度以上は保ちたいところ。いかにして気温を確保するかが肝で、オイルヒーター等を24時間稼働させ鉢を置いてある部屋全体を保温する。
また経済的に苦しければ、発泡スチロール箱を転用する等して専用の保温箱を確保し、その中にカイロ等の保温材と共に入れ夜をしのぐ、といった工夫で乗り切りると良いでしょう。
なお気温が低くなればなる程花芽の伸長もゆっくりしたものとなりますから、しばらくは支柱立て等の作業を行わずに済みます。



一般の家庭なら、ファレノプシスの開花は翌年の2月辺りからポツポツと、といった感じになります。
生産農家の様に長く優雅に花茎は伸びず、少々寸詰まりな咲き方となってしまいますが、栽培環境が劣っていれば致し方の無い事。ただ1年の頑張りが報われる瞬間でもあり、最も充実感に包まれるのは間違いありません。
花茎の伸びも鈍く着花数も少なめな為、支柱立ては開花ギリギリのタイミングでも間に合う程。無理に支柱を立てず自然なアーチで花容を満喫するという手もあります。

なお株の勢いが良い場合、花が終わった後に花茎を数節残してカットし、残された節から新たな花芽を出させ2度咲きを楽しむという奥の手がありますが、一般家庭で栽培する場合はそれだけの余力は株に無い場合が殆どであり、花が終わったら素直に株元でカットした方が良いでしょう。
数シーズン上手く花を咲かせられる様になれば自信も付き、更に本格的な栽培に目覚めるかも知れません。生産農家の様な素晴らしい花容を楽しむべく、温室導入を検討するならこのタイミングでも十分です。