夏の夜なら誰でも格好良い大物が狙えるチヌ釣りとそのコツ

暑い夜こそチヌ釣りに出掛けよう

暑いです。この少なくともこの記事作成時の9月は、まだ。
真夏の暑い休日は下手に外出せず、エアコンの効いた自宅内でのんびりと日頃の疲れを取るのが一番… 確かにそれが一番楽かも知れませんが、只ボーッと過ごしていればいずれ飽きが来るというもの。

近くに気軽に出掛ける海があれば、涼しい夜間だけでも外出する時間を作り、夜釣りで釣り人憧れのチヌを狙ってみてはいかがでしょうか。

チヌ釣りとは?

チヌは標準和名でクロダイと呼ばれますが、東日本の一部を除きチヌと呼ばれ親しまれているケースが多い魚。魚の王様・マダイをそのまま黒くした様な魚体は均整が取れ大変格好良く、一度でも立派なサイズを釣り上げれば誰もが虜になってしまうに違いありません。

一般には警戒心が極めて強く、余程キャリアを積み重ねたベテランでなければ釣るのは難しい、というイメージのあったチヌですが、現在は夏場の夜釣りなら手軽に大物が狙えるルアーフィッシングの釣法が発案され、各地で楽しまれるまでに定着しました。


今回紹介するのは、その中でも最もポピュラーかつ特別なテクニックも必要の無いボトムズル引きと呼ばれる釣法。揃えるタックルやルアーもかなりシンプルなもので、あまり釣りに親しんで来なかった初心者でも気軽に挑戦出来ます。

準備するのは小型のスピニングリールにチニング(チヌ専用)ロッド。リールにはPE0.8号を150メートル程巻いてその先に16ポンド程度のフロロリーダーを1メートル程繋ぎ、同じくチニング専用のラバージグとフックに取り付けるソフトルアーのセットを幾つか買い揃えます。また足場の高さやサイズによってはランディングネットが必要となりますから、必要に応じてこちらも準備しておくと良いでしょう。

もちろん夜間の釣行となり、光源が無ければリグ(仕掛け)の交換や釣った魚の処理等が大変となってしまいますから、携帯型の小型ライトがあった方が楽。また夏場は蚊やヌカカに悩まされぬ様、強力な虫よけスプレーがあると大変便利です。

これだけ用意出来れば、後は夜間にフィールドに出掛け、目ぼしいポイントにリグをキャストしじっくりと探ってゆくだけ。
他のルアーフィッシングの様に派手なアクションやテクニックは一切必要無く、ただボトムの感触をロッドの先に感じながらゆっくり巻いてくるだけですから、実に簡単です。

チヌのポイントは汽水域に

そこで肝心のフィールドやポイントの選び方ですが、夏場におけるチヌの習性を理解すればおのずと答えが見えてきます。
警戒心の強いチヌは、明るい昼間は沖目の深場や身を隠せる障害物の周囲で静かに過ごしていますが、夜間になると警戒心を解き、河川の河口や下流域、内湾の干潟やサーフといった浅場に積極的に入り込み、エビやカニ、場合によってはハゼ等の小魚を盛んに捕食します。

特にチヌは淡水が効いている汽水域を好みますから、上記のポイントがあればチャンスが一気に大きくなる訳です。
自宅から通える範囲内の海に、足場の安定した大規模河川の河口域や下流域、小規模河川や生活排水の流れ込みがある内湾エリア、広大な干潟や砂泥質のサーフ等がないかどうか、自分の足やネットマップを活用しチェックしてみると良いでしょう。

夏場の夜間、チヌは思いもよらぬ小場所や浅場まで入り込んで来ます。誰もが知るメジャーポイントだけでなく、自分だけが知るマル秘のポイントを開拓出来る面白さもあり、そこで大物を仕留めるという醍醐味がこの釣りにはあるのです。
リーダーの先にチヌ用のラバージグを結び、同じくソフトルアーをフックにセットしたら、静かに水際にエントリーし幅広くキャストし狙っていきましょう。
昼間こそポイントの吟味は障害物の際や流れの流芯近くを始めかなりシビアですが、夜間はかなりアバウトでも大丈夫。ただしリグが着底しズルズルと引いて来る中で、硬いボトムや細かな障害物にリグが当たる、ゴツゴツという感触が感じられるエリアを集中して探る事が大事です。

キャストし引いてもゴツゴツ感が感じられず、その度にリグがゴミや海藻を引っ掛けて来る様なエリアは、チヌにとっても餌が捜し難く、ヒットはあまり期待出来ません。
例外なのはアマモがしっかり生えている中を引いてくる場合。特に産卵期(ノッコミ)のチヌはこれらを集中して食べる個体も多く、得てしてリグを引き辛いこれらのエリアを徘徊しているケースが多いのです。アマモを根ごと引っ掛けてくる場合、少々我慢して狙ってみるのもありでしょう。

チヌのアタリは、いきなりゴゴンとリグを持ってゆくケースと、カツカツ…という金属的な前アタリが出た直後にゴンと出る場合があります。
いずれにせよ軽いアタリが出ても焦らず、魚が反転し十分重みが伝わったところでロッドをジワッと煽り、フッキングさせる心掛けが大事です。

後はロッドを溜め緩めず慎重にリールを巻き寄せればOK。チヌは元々持久力の無い魚ですから、最初は引きが強くともしばらく我慢していれば必ず弱り浮いてくる筈。

無事ネットに収まった魚を引き上げ、ヒレピン・漆黒の格好良い魚体がライトに浮かび上がった瞬間、日頃のストレスや暑さの疲れもどこかに吹き飛んでしまうに違いありませんね。